女性と子どもの安全がない国は滅びる 豊島区議会議員 水谷 泉
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2008 年 2 月 23 日    
女性と子どもの安全がない国は滅びる
〜法医学者が語る「男女共同参画社会とは」〜
 エポック10(男女平等センター)で開かれた掲題の講演会に出席しました。2002年2月15日に豊島区では、「男女共同参画都市宣言」をし、翌年には条例も制定されました。この宣言を記念して、毎年この時期に「男女共同参画都市宣言記念週間」としてパネル展示や講演会を開くことにしたそうです。

 今日のお話は、杏林大学法医学教室の佐藤喜宣教授によるもので、副題は「誰もが安心して暮らせる社会を」でした。

 法医学者という方のお話は初めて聞きました。日本全国で119人しかいらっしゃらないそうでした。法医学者ってパトリシア・コーンウェルのドクター・ケイ・スカーペッタのような仕事なのかと漠然と思っていましたが、今日の佐藤先生は、死体を解剖してわかることを臨床に返そう、と日本ではこれまでほとんど知られていない「臨床法医学」を始めたそうです。

 ”子どもの虐待”と”DV”と”高齢者”の虐待は、別々に捉えられ、それぞれバラバラに対策が立てられていることがほとんどですが、佐藤教授は、”この3つは負の連鎖をしている”と主張されていました。お話を聞くと確かにその通りで、誰しもがいつ加害者あるいは被害者になるかもしれない、ともおっしゃっていました。子どものころに虐待を受けていた人が大人になって、DV加害者になる、そして後には介護している高齢者を虐待する、というケースが相当数あるそうです。

 この連鎖を断ち切るには、「子どもの虐待を抑えること」がもっとも重要だとおっしゃっていました。虐待にあった子どもが命を落としたケースには、いったんは児童相談所などが介入していながら、たとえば病院などとの連携が出来ていない(ひどい状況で入院などをしたことがあったのに)ために、家庭に返してもっと重篤な状況になった事件も記憶に新しいところです。医療機関での虐待の見逃しで、次回の来院時には5%が死亡し、25%が重症化する、と言われているそうです。
 また、少年院在所の少年の72.2%が虐待の経験があることも報告されているとのことでした。

 DVに関しては、”日本には加害者に関する更生プログラムがないことが問題だ”、とも言われました。私はかつて民間でのDV加害者プログラムを実践しているNPOの人のお話を聞いたことがありましたが、正直「本当に生まれ変われるの?」と感じたことは事実です。今日の講演後に同じ質問が出ましたが、それに対して「強制力のない(今の日本の法律)ものではやはり変わらない、と思うけれど、一定の強制力のあるものを実行すれば変わるのではないか」とのコメントでした。

 DV被害者はマインドコントロールをされていて、自分では判断できない状況になるとも言われています。内縁の男性に自分の連れ子を虐待される事件では、自分自身もDVにあっていてもはや判断力がなく、その虐待を止めることができないのだ、と指摘されていました。

 不幸にも虐待で命を落とした衝撃的な写真を何枚も交えての講演でしたが、そのすさまじさと実母の悲しみ(死んでしまった子どもを山に埋めるのに顔をタオルで覆い、パジャマの裾もきちんと揃えていた)を思い、涙が出てしまいました。「気分が悪くなったら遠慮なく退席してください」と初めに注意をされましたが、気分が悪くなるよりも、あまりにも不憫で胸が痛くなりました。

 本当に誰もが安心して暮らせる社会を実現していくことがとても重要だと実感した2時間でした。


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